大人になるまで待って
(IFで将来の話) いつも通りの距離なのにどうしても彼の顔を見返すことが出来ない。理由は分かっている。今日の長義はいつもより甘やかしてくるのに、それと同じくら…
(IFで将来の話) いつも通りの距離なのにどうしても彼の顔を見返すことが出来ない。理由は分かっている。今日の長義はいつもより甘やかしてくるのに、それと同じくら…
「あぁ、第二部隊がもんてきちゅうね」近侍の陸奥守の台詞に顔を上げれば、思ったより時計の針は進んでいた。書き物に集中していたせいで時間を忘れていたらしい。彼の声…
(長義連載番外編) 「あんた、久しぶりだな」万屋街の人混みの中でも、自分に向けられた声だとはっきり分かった。「はい?」聞き覚えのある声に振り返ると、そこにはブ…
7:00 朝食に特別を 「おはよぉ、主」 「おはようございます、陸奥守さん」 厨に広がるバターのいい香りに期待が膨らむ。けれどそれを素直に口にするのは強請って…
渡された道具がどういうものかは知っていた。それを審神者が純粋な厚意でくれたのだということも。 「お守りは渡しますけど、無茶するのはダメですよ。使わないのが一番…
脚に掛かる重みと温かさを愛おしく思いながら汗で湿った額に手を伸ばす。目元を隠す前髪を掻き分け指先を頬へ滑らせれば、酒の一滴も入っていないにも関わらず赤らんでい…
▼なにか古いもの (一度も使われることのなかったお守り) 「おんしに貰うたもんやけどなぁ」そう言って差し出されたのは懐かしさすら覚えるほど久しぶりに見た彼のお…
山姥切国広視点 皿の上には消し炭という名のパンケーキになりたかったであろう残骸。本科から受け取ったそれを片手に落ち着ける場所を探し、辿り着いたのは日当たりが良…
山姥切長義視点 最初は完璧だったと自分でも思う。それがどうして、こんなことになっているのか。 真っ黒で焦げ臭い匂いを放つ物体を前にして俺は放心していた。匂いを…
今日は近侍の日だ。逸る気持ちを抑えて足音を極力立てないように部屋へ向かう。気の持ちようだと分かっていても取り巻く空気すら昨日より澄んでいるように感じる。辿り着…